Dreaming My Dreams

目が覚める。窓の外を見る。青い空に白い雲がぽっかりと浮かんでいる。
僕はただじっと、その真っ白な雲を見つめている。
さっき見た夢の空も、同じように青かった。
だけどそれは幻。
絶対に手の届くことのない儚い夢。


農夫の格好をした異国人の顔をした背の高い黒髪の男と、質素ではあるがこざっぱりとした衣服に身をつつんだ女が石畳の道を歩く。
彼らのまわりで楽しそうな子供たちの足音と笑い声が踊っている。
女の頭部を覆う白い帽子からはみ出したプラチナの髪が、明るい太陽の日差しにキラキラと輝いている。
男の隣を歩いていた女が彼の方に顔を向ける。
「ねぇ、インさん。今年も無事に謝肉祭が迎えられて良かったねぇ。」
その言葉に男が微笑み頷いた。
「あぁ本当に。神様に感謝をしないといけないな。」
女も同じく微笑みで、その言葉に返事をする。
その時、彼らのまわりを歩いていた子供たちが歓声を上げ駆け出した。
彼らの目指す先には大きな黒づくめの人形が立ちはだかっている。
彼らが辿り着く前にその人形が宙を舞い、子供たちの頭上でマントを開く。
黄金の小麦のような色の髪の上に色とりどりの花びらが舞い踊った。
子供たちが人形から伸びる糸の先に向かって嬉しそうな声で呼びかける。
「ジンおじさん、こんにちは!」
地上に降り立った人形の後ろから楽しそうな笑顔を見せて、錬金術師の服装で身を纏った男が現れた。
彼は農夫の男と同じく黒髪に異国の人間の風貌をしている。
「やぁみんな、いらっしゃい。イン兄さんもフランシーヌも元気そうで何よりだ。子供たちはみんな良い子にしてたかな?」
男はニコニコと笑いながら一番近くにいる子供の頭をなでた。
「うん、もちろん!今じゃ畑仕事は父さんに負けないよ!!」
「私は母さんより上手に縫い物が出来るのよ。」
子供たちが大好きな彼らのおじさんに向かって口々に声をあげる。
その一人一人に頷き返し、男は笑顔で皆に手招きをした。
「さぁカーニバルの始まりだ!広場で外国から来た旅芸人たちがすごい出し物をしているよ。みんなで見て楽しもう!」
男の言葉を聞いて、笑いさざめきながら子供たちが広場の方に走りだす。
その後ろを女と男二人が歩いて行く。
「あの子達に手がかからなくなったんだから、そろそろ二人も自分たちの子供を作らなくちゃね。」
ジンと呼ばれた男がニコニコ笑ってそう言った。
「俺たちの事より…お前、自分はどうなんだ。」
インと呼ばれた男が照れ臭そうにそう言った。
「ふふ。錬金術に女は必要ないなんて言ってたのは誰だったっけね。でも僕も、優秀な錬金術師にはなれそうもないなぁ。」
そう言ってジンはニヤリと笑う。
「まぁ、ジンさんの評判は私たちの住む田舎でも聞こえてくるのよ。それで優秀じゃないなんて。」
フランシーヌが口元に手をあげて驚いた声を出す。
「…旅芸人に職を変えようかと思ってね。カーニバルの度にこの街で兄さんたちを迎えるのも今年が最後になりそうさ。」
そう言ってジンは悪戯っぽい顔で笑う。
「突然何を…」
弟の言葉にインがあっけに取られた顔をした。
「旅芸人の中にステキな人がいるんだよ。彼女と一緒に世界を旅して回る事にしたのさ。今から二人に紹介するね。」
「まぁステキ!ジンさんにそんないい人が出来たなんて。」
「うん、とてもステキな人さ。二人ともきっと気に入ると思う。それに…フランシーヌより美人だよ。」
「まぁ!ジンさんったら。その人の事がとても好きなのね。」
ジンの言葉にフランシーヌが顔を輝かせた。
三人は楽しそうに笑いながら石畳の道を歩く。広場から子供たちが彼らに向かって手を振っている。
「…あぁ子供たち、僕たちを待ちくたびれてしまったようだね。早く行こう、兄さん、フランシーヌ。」
ジンは二人の手を取って駆け出した。
そんな彼らの歩く先は光と輝きに満ち溢れていた。

2008.8.26

はじめて日本人じゃ無い人たちの曲をイメージしたよ。
とはいえかなり懐かしい感じですが(汗)
新婚のインとフランシーヌを描く為に脳内イメージを強化中(笑)
それでなんでジンの方が目立ってるんだか。旅の女芸人はナイフ使いか猛獣使いかどっち?
タイトルは The Cranberries「Dreaming my dreams」から。
※日記で自分の書いた物を振り返るのが面倒になってきたので、少々リライトもしつつこっちに移しました。2009.1.22