「アニキ…?あにきぃぃ!!!」
平馬が阿紫花の体にすがりつく。
「ちょっと厠だって、言ってたじゃねぇかよぉぉ…。チクショウ何で、何でだよう…。」
泣きじゃくる声が町外れの荒地に響いた。
不気味な人形のオブジェの上に阿紫花英良は横たわっていた。体中穴だらけにして。
「平馬…」
後ろで涼子が、そしてリーゼが声も無く立ち尽くす。
「お兄さんをみんなの所に連れていってあげましょう。ここは寂しすぎます。」
しろがねが阿紫花の体を抱き上げる。
美しい女性に抱きかかえられる傷ついた痩せぎすの男。その姿はまるでピエタのようだった。
しろがねがふと空を見上げる。
「彼はナルミとの約束を守ってくれたのね…」
彼女は、子供たちに聞こえないほど小さな声でつぶやいた。
「え?」
目を赤く腫らした平馬が聞き返す。
「お兄さんはシャトルを守ってくれたのですね。
いつも彼は自分の事を悪し様に言っていましたが、仕事に対してはプライドの高い男でした。
…彼は自分の仕事をやり遂げたのです。」
しろがねはそう答えた。
*****
「ど・どうしたんだよ、へーま。お前がそんな泣くなんてさ、おかしいよ。」
「うるせぇ!おまえの前でオレが泣くのはこれが最初で最後だ。だまってろ!
ホントに勝…生きてて…良かった…」
不時着したシャトルから救出され、ベッドの上で目が覚めた勝の前で、平馬は男泣きに泣いた。
兄が命と引き換えた最後の仕事の成果を前に。
勝はまだ、阿紫花が自分の乗ったシャトルを守って死んだ事を知らない。
知ればこの頭のいい友は、すいぶんと悲しみ苦しむだろう。
(そん時は言ってやる。
それがアニキの仕事だったんだって。
お前が気にする事じゃない。
アニキはプロだ。
受けた仕事は最後までやり遂げる。
オレはアニキを誇りに思う。)
平馬は心の中で英良に語りかける。
(アニキ、ありがとう。オレの友だちを守ってくれて。
やっぱオレのアニキは最高だよ!)
平馬は泣きはらした顔で勝に笑顔を向けた。
それに答える友の笑顔は何より得難いものだった。
平馬はどこかで、タバコをくわえた兄が笑っているような気がした。
2007.7.11
私ルールでは鳴海以外(鳴海は勝を助けに行ってる)の仲町サーカス関係者が、
最後の戦いで取り残された人々を助けにいってます。
生きてる人だけでなく命を失った人も同様に。
鳴海チームと同様にメイド人形付きで、大型輸送機で移動しています。
阿紫花平馬と阿紫花英良の兄弟は勝の人生においてかけがえのないものです。
お兄ちゃんの方には殺されかけているのでアレですが(笑)
阿紫花は、鳴海やしろがねより先に勝の才能に気付きますし、
平馬も勝にとって初めての親友という特別な位置にいます。
そんな二人を私が好きにならない訳がないじゃないですか(笑)
ウチのサイトではアブノーマルなCPはありえないのですが、
人様のサイトではも勝×阿紫花英良を楽しんでます(〃▽〃)
いえ、これには自分が驚いてるんですけど
…一年以上経った今では勝×平馬だってどんと来い、だぜヾ(;´▽`A``